チベット密教は、インドから伝来した密教がチベット独自に発展した仏教の一派です。正式名称は「金剛乗仏教」ですが、一般的にはチベット仏教の密教的な側面を指す言葉として使われます。
特徴
- インド密教の要素とチベットのシャーマニズムなどが融合した独特な体系
- 厳しい戒律を守り、師弟相承による秘伝の教えを重視
- 悟りを目指すだけでなく、現世利益にも効果があるとされる
- 曼荼羅、真言、ムドラー（印）、護摩など様々な儀軌を用いる
- 多様な仏尊や神々が信仰対象
歴史
- 8世紀頃にインドからチベットに伝来
- 11世紀頃にインド密教の僧侶アティーシャがチベットに渡り、密教を本格的に伝授
- 14世紀に宗喀巴がゲルク派を創立し、チベット仏教の主流となる
- 17世紀にダライ・ラマ政権が成立し、チベット密教は国家宗教となる
- 20世紀に中国によるチベット侵攻により、多くの寺院が破壊され、多くの僧侶が亡命
主要な宗派
- ゲルク派: ダライ・ラマを頂点とする最大派
- カギュ派: 転生ラマを頂点とする修行僧を中心とした派
- サキャ派: 12世紀にサキャ・パンディタが創立した学問僧を中心とした派
- ニンマ派: 古密教の伝統を受け継ぐ派
現代におけるチベット密教
- 中国政府による弾圧を受けながらも、チベット内外で信仰が続いている
- 西欧諸国を中心に、チベット密教への関心が高まっている
- ダライ・ラマ14世の活動により、世界平和への貢献も果たしている
チベット密教の瞑想法
チベット密教の瞑想法は、心を落ち着かせ、本来の悟りの性質に目覚めるための方法です。様々な種類がありますが、いずれも深い集中とリラックス状態を導き、精神的な成長を促す効果があります。
代表的な瞑想法
1. トンレン
- 慈悲の瞑想
- すべての苦しみを自分自身に引き受け、すべての幸福を他者に与える
- 呼吸とイメージを組み合わせる
2. シャマタ
- 一点に集中する瞑想
- 雑念を捨て、心を静める
- 呼吸やろうそくの炎などに集中する
3. ヴィパッサナー
- 洞察の瞑想
- 現実の無常と空性を理解する
- 自分の心と体の状態を観察する
4. マントラ
- 真言を唱える瞑想
- 仏や菩薩の加護を得る
- 集中力を高め、心を落ち着かせる
5. ヤントラ
- 曼荼羅を視覚化する瞑想
- 仏の世界と一体化する
- 心を安定させ、悟りの境地を体験する
チベット密教の瞑想法の特徴
- 厳格な姿勢と呼吸法を重視
- 師弟相承によって秘伝される
- 独特な儀軌やマントラを用いる
- 長時間の修行が必要
チベット密教の瞑想法を学ぶ方法
- チベット仏教寺院の指導を受ける
- 書籍やウェブサイトで学ぶ
- ワークショップやリトリートに参加する
注意点
- チベット密教の瞑想法は、深い精神的な効果をもたらす可能性がありますが、誤った方法で行うと危険な場合もあります。
- 信頼できる指導者から学ぶことが重要です。
