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香道の流派とは?日本国内の流派について調べてみた。

香道は、日本に古くから伝わる芸道の一つで、香りを「聞く」という独特の文化を持ちます。この美しい芸道は、主に「御家流」と「志野流」という二大流派に分かれており、他にもいくつかの小規模な流派が存在します。

御家流

御家流は、室町時代の文化人・三条西実隆によって確立された流派です。平安時代の貴族や公家たちの間で行われていた和歌と香遊びを源流とし、香りと雰囲気を楽しみ、心の余裕を得ることを目的としています。江戸時代後半には香道書の出版が盛んになり、将軍・大名の後宮や富裕な町人層の女性にも広まりました。現在、三条西家の当主が御家流家元を継承しています。

志野流

志野流は、室町時代に大坂の文化人・志野宗信によって確立された流派です。江戸時代の享保年間に家元制度が完成され、現代まで志野流蜂谷家によって継承されています。志野流は主に武家の中で培われ、精神修養を目的とし、作法や礼儀を通して精神を鍛錬することが目的です。

その他の流派

御家流と志野流の他にも、風早流、翠風流、御家流桂雪会、平安朝香道などの流派が存在します。これらはそれぞれ独自の特色を持ち、香道の多様性を示しています。風早流は江戸時代前期の公卿によって、翠風流は柳川藩に伝承された香道を大正時代に再興した流派です。御家流桂雪会は1963年に発足し、香道を自由に楽しみ探求することを目標にしています。

香道は、天然の香木を用いるという特性から、流派の数や愛好者の数は他の芸道に比べて多くありません。香道の香とは主に「沈香」と呼ばれる香木で、特殊な樹脂の分泌によって長い時間をかけて生成され、熱帯アジア原産で日本では産出しません。この貴重な香を大切に扱う文化が、香道の根底に流れています。

香道は、日本独特の「道」という概念にふさわしい技芸の一つで、現代社会においても「香り」がリラクゼーションの一部として、またマナーに関わることとして注目を集めています。フレグランスやアロマとは異なる、日本の香道も体験してみる価値があります​​​​​​。

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